美味しんぼ外伝〜雄山:YU-ZAN〜海原雄山伝

 

美味しんぼ外伝〜雄山:YU-ZAN〜海原雄山伝

戦後復興期の日本…。

ただひたすらに 「モノ」 と 「カネ」 を追い求めた時代に

ひとり異議を唱え 世界に 孤独な戦いを挑んだ男がいた。

彼の手にした武器は、おのれの 「感性」 ただひとつ。

名を 海原 雄士。

後に 海原雄山と号し、天下にその名を轟かせる男である。

 

 

 

昭和3X年、東京。復興に沸く世間の中で主人公、雄士は貧窮にあえいでいた。

帝國芸術大学を優秀な成績で卒業するも、彼の才能は世間に受け入れられず、

また、彼自身もいまだ自らの才を開花させるには至っていなかったのである。

生まれ持った矜持、人に頭を下げられない性格も災いし、孤立無援の状態であった。

ささくれた心を抱える、無頼の日々…

彼の目に、経済成長を遂げつつある日本は、

ただ物質に狂奔するうつろな国にしか写らなかった。

 

そんなある日。

同窓生に紹介され、アルバイトに訪れた展覧会において、雄士はトラブルを引き起こしてしまう。

陶芸品に含まれていた贋作数点を、衆人の中で指摘したのだ。

メンツを潰された主催者は怒り狂う。

 

しかし、その中でただひとり、雄士を認めたものがいた。

 

京極万太郎。

戦前のコメ相場で財を成した、関西経済界のホープである。

「焼き物の真贋を見る眼は、わしはあんたに及ばん。

けどな、人間の真贋やったらわかるで。」

京極の言葉にも罵詈雑言で返す雄士であったが、

彼の薦めで、一人の陶芸家のもとに出向くこととなる。

 

陶芸家・唐山陶人。

北大路魯山人に師事するも、この頃は未だ無名である。

しかし、彼の生み出した作品は雄士を打ちのめし、その場に跪かせた。

突然の弟子入り志願に、しぶる唐山に対し

「このおれが弟子になってやるというのだ!

その意味もわからんのか!このばか者め!」

と食って掛かる雄士。

 

その場をとりなしたのは、戦争で身寄りを無くし、唐山のもとで働く女性、山岡幸代である。

これが、その生涯をかけて海原雄山を支えた妻との出会いであったが、

まだ若い二人にはそんなことを知る由もなかった…。

 

 

※作者補足

「海原雄山」という名前は号だと思うので、本名は「雄士」と推測しました。

山岡士郎との性格の類似は作中でよく指摘されていますし、なにより街での遭遇率の高さは異常。

当然、行動だって似てる筈なので、山岡が息子に自分の名から「士」の文字をつけているからには
雄山だってつけているはず。雄士・雄郎・士山・郎山…この中だったらどう考えても雄士。

作中で、雄山の奥さんの名前は出てきませんが、TVドラマ版で「幸代」と書かれた墓石が出てきたそうなのでいただきました。。

 

by ぽんきちさん(ポンキチR&R)

 

一つ前に戻る