関ヶ原の戦いの際、西軍から「奴を見かけたらまず逃げろ」と言われ恐れられたのが、緑のひこにゃんである。
緑のひこにゃんは、西軍10万の軍勢のうち、実に約8万に及ぶ兵を討ち果たしたと云われる。
そしてなお現在、頭を叩き潰さないかぎり不死身のこのひこにゃんは、現在も彦根城内の暗がりを徘徊しているのである…。
もしあなたが、お城の中で緑のひこにゃんを見つけても、決して近づいてはいけない。
最後の瞬間に、それが あなたの会いたがっていたひこにゃんとは全く違う存在という事が分かるだろう。
一件愛らしい生物であるひこぶえだが、大好物は人間とマナティーであり、
夏の海難事故の実に九割八分は、ひこぶえが原因になるものである。
ひこぶえは、元々彦根城のお堀に住んでいた特有の生物であり、
戦時はその獰猛さで堀を守る鉄壁の守護神であった。
手薄な掘と思い侵入した兵士や忍者は悉くひこぶえの餌食となったのである。
しかし、近年になって心ない観光客が、ペットにしようと持ち出してしまった。
搬送中に飼い主は補食され、ひこぶえは海に逃げ込むこととなった。
今では世界中の海で大量繁殖し、各地のマナティーは絶滅の危機に瀕している。
ひこぶえを退治する方法は只一つ、陰嚢を叩き潰す事ですが、陰嚢は硬い殻に覆われており、
繁殖中以外は外す事がない。たとえ殻を脱いでいる時でも、非情に気性が荒くなっているため、
間違っても捕獲しようとしない事だ。なにかあった際は、プロのひこぶえハンターに通報を。
ひこねむしは金持ちだった。だが、決して幸せでは無かった。
ひこねむしの只一つの資産、それは、いつも転がしている真ん丸な鈴である。
この鈴は、時価15溝円もの価値があった。そのため、ひこねむしは常に
鈴を狙われ、心の安まるひとときを得る事はできなかったのである。
鈴の音に誘われ、休む間もなくおぞましい人間達が吸い寄せられて来た。
そして、ちっぽけなひこねむしは非力だった。 愛する妻や子の命を奪われ、独りで生きていた。
だが、そんな彼に奇跡が起きた。
ある朝目覚めると、ひこねむしの頭に強力な顎が出来ていたのだ。
それはまるで角のようだった。
鈴よりも目映いその角で、人間達の敏感な部分を、容赦なく厳しく突き立てて行った。
今日は彦根城のマスコットキャラクターに擬態し、人間達を鈴の音でおびき寄せる。
復讐は始まったばかりだ…。
イギリス産まれの正義超猫ッ!
『ひこワンとひこにゃん』
久しぶりに再会した親友は、ひこにゃんそっくりの出で立ちで現れた。
そしてその瞳は憎悪に満ちていた。
−数年前。ひこにゃんが彦根城のイメージキャララクターに選ばれた際、親友は彦根から姿を消した。
その後、親友は唐津城のイメージキャラクターに選ばれていた。名を「唐ワンくん」と付けられた。
唐ワンは誇らしかった。「奴に並んだ」、そう思った。しかし、彼は非難された。曰く「ひこにゃんの二番煎じ」、曰く「紛い物」だと。
彼は我慢ならなかった。とある秋の祭りの日、彼は怒りに燃えて故郷に帰って来た…ひこにゃんに成り代わるために。
「今日から俺はひこワン。お前はここで死ぬ。彦根の城は、俺のものだ。…こんな祭りは俺が終わらせてやる。」
ひこにゃんの説得に、ひこワンは聞く耳を持たなかった。…二人は激しく切り結んだ。
「お前の剣はゆるいな!」
ひこワンは、圧倒的な力と早業で、ひこにゃんを攻め立てた。
「斬り捨てられるだけで済むと思うなよ!三日三晩、お前の屍を辱めてやる!」
しかし、一見優勢に見えたひこワンの太刀筋は、怒りで邪に曇っていた。
「お前はゆるい、ゆるすぎる!お前は、お前は…!」
ひこワンの太刀が大振りになった刹那、彼の茶色い斑が刺し貫かれた。
ゆっくりと崩れ落ちるひこワン。
「お前は…ゆるくて……美しいッ…!」……
今際の際のひこワンは、憑き物が落ちたかのように穏やかな瞳をしていた。
「お前を好いていた…お前は俺の、憧れだった…。だからこそ、俺はお前を……呪い、争い、殺さなければならなかったんだよ…。」
……ひこにゃんは少し泣いた。それから、屍を辱めた。
彦根の平和は私が守るのだ!!!. |
『彦根の王者ひこちゃん.』 by RUTEさん(under paradise)
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『ライバル』 by RUTEさん(under paradise)
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