今回紹介するのは、あまりにも時代に逆行したその作風から開発中止になったにも関わらず、スタッフが苦労の末に完成させて世に送り出した珍ゲーム『ソードマスターヤマト』(原作は月刊ジャンプ連載の『ギャグマンガ日和』)である。 このゲームは初期出荷版の誤植の多さからなんと第二版まで出ているという意味でも、珍ゲームの名に相応しい。 ストーリーは至って単純で、主人公ヤマトが仲間と共に旅立ち、さらわれた両親を救い世界に平和を取り戻すために魔龍王ベルゼバブを倒すというもの。だがベルゼバブのいる城の門を開くためには四天王を倒さねばならず、ベルゼバブを倒すためには「聖なる石」が必要だという。 さて、このゲームが珍ゲームたる証拠の数々を見てみよう。 |
オープニングイベント終了もそこそこに、主人公と深い因縁をもつ第一の四天王、サイアークとの戦いが始まる。戦闘開始早々に緊迫したクールなシーンだが、実はこの画面は後日発売の修正版のものである。初期出荷版でのこのシーンは次のようなものであった。 |
この戦闘はオートバトルである。ヤマトとサイアークの間でセリフが交わされたあと、ヤマトは新必殺音速火炎斬を編み出すのだ。そしてこの次こそが、このゲーム最大の誤植であるシーンだ。して見てほしい。 |
左が修正版、右が初期出荷版である。ゲーム発売直後、ネットなどを通じて、この誤植は本来何だったのか様々な憶測が飛びかった。後日発売された修正版で真相を知ったプレイヤーはどういう気持ちだったのだろう。 実はこのゲームの開発は、このあたりで中止になるはずだったらしいのだが、そのために開発陣は驚くべき展開を用意していた。 |
なんと、新必殺技の一撃でサイアークを倒してしまう。因縁の相手がこれでいいのかという気もするが、驚くのはまだ早い。なんと… |
なんとサイアークのうしろのドアの向こうには四天王の残り(左からレツアーク、キョウアーク、ゴクアーク)がいたのだ!!なにやら話をしているような四天王3名。そこへ… |
サイアークを突き刺したまま突進し、残りの四天王もろとも葬ってしまうヤマト。音速火炎斬おそるべし。なにが「ついに」なのかよく分からないが、四天王は全て倒れた。残すはベルゼバブのみである。 |
そしてベルゼバブが登場!!このシーンに到達したのはオープニングの5分後である。だが、ベルゼバブを倒すには聖なる石が必要なはず!?…なのだが…(この先のシーンはネタバレを多く含むため、ごく一部だけ紹介しよう) |
ベルゼバブ、衝撃の告白!!ついにベルゼバブとの戦いの火蓋が今、切って落とされた!! …と思いきや… |
そのままスタッフロール突入、THE ENDである。このまま画面を放置していても何も始まらないし、隠し要素も存在しない。むしろ、ここまで操作が必要な場面は1秒も存在しなかったと言えよう。 これで定価5,600円を取った開発会社の、その後の行方を知るものはいないという。 |