リラックマスペシャル その1
 
 
 
 
  
  
  気付いた時はもう手遅れだった。 そのクマ達は巧妙に近づいて来た。
  弛緩し、だらけきった雰囲気で、親しげに話しかけて来た。
  
  茶色のクマなどは、丁寧な敬語で話しかけて来た。いい気分だった。
  いつしか彼も、クマ達とダラダラする事に安らぎを覚えるようになっていた。
  
  …終わりの時は、ある日突然やって来た。いつものいたずらだと思っていた。
  クマ達は、被り物をして近づいて来た。近づくにつれ、臭いが酷くなって来る。
  いたずらでは済まされない程の悪臭…
  
  彼は逃げようとしたが、その時はすでに身動きが取れなくなっていた。
  今際の際に彼は見た。
  それまで殆ど表情を変えなかったクマ達の、ゆがんだ笑顔を…。 
 
 
 
 
 
 
 
  
  
  軽い冗談のつもりだった。でも、それが致命傷だったんだ。
  …そして僕達は、悲しみを抱えたまま旅に出た。